インフルエンザが流行する季節になると、ワクチンを打つかどうかが気になります。
私はこれまで、なんとなく
「今年はA型が流行しそうだから、A型のワクチンを作るのかな」
くらいに思っていました。
でも、よく考えてみると不思議です。
インフルエンザが本格的に流行する前に、どうやって「今年流行するウイルス」を予想して、ワクチンを作るのでしょう?
もしかして、かなりの部分が「予想」や「賭け」なのでは?
そう思って調べてみました。
すると、想像していたよりずっと大がかりな仕組みで、世界中のデータを集めながらワクチンの中身が決められていることが分かりました。
そしてもう一つ、私自身が気になっていたことがあります。私自身の話ですが
「ワクチンを打つと、熱が出て、翌日は寝込んでしまう。そこまでして打つ意味はあるの?」
今回は、そんな疑問も含めて調べてみました。
インフルエンザワクチンは、毎年同じではない
インフルエンザウイルスは、少しずつ姿を変えていきます。
そのため、ワクチンも毎年同じものを使うわけではありません。
現在、日本で使われている季節性インフルエンザワクチンは、3種類のウイルスを対象とする「3価ワクチン」です。
- A型(H1N1)
- A型(H3N2)
- B型(ビクトリア系統)
この3つに対する免疫をつけることを目的としています。
では、その「3種類」は誰が決めているのでしょうか。
WHOが世界の流行状況を調べている
ワクチンの株を決めるうえで大きな役割を果たしているのが、WHO(世界保健機関)です。
WHOには、世界各国からインフルエンザウイルスの情報が集まります。
どんなウイルスが流行しているのか。
以前のウイルスからどのくらい変化しているのか。
ワクチンで作られた抗体が、現在流行しているウイルスにどのくらい反応するのか。
こうした情報を、世界中の専門家が分析します。
WHOは、北半球向けと南半球向けに、年2回、次のシーズンのワクチンに入れるウイルスについて推奨を出しています。
つまり、
「今年はこのウイルスが流行するだろうから、これを入れておこう」
と、単純に誰かが予想して決めているわけではありません。
世界規模の「観測」と「分析」の結果なのです。
では、日本はWHOの言うとおりに作るの?
ここも、私は少し誤解していました。
「WHOが決めたものを、そのまま日本でも使う」
というわけではありません。
WHOの推奨を参考にしながら、日本では国立感染症研究所などが、
- 日本国内でどのウイルスが流行しているか
- 世界ではどのウイルスが増えているか
- ワクチン接種後の人の血清が、流行株にどのくらい反応するか
- ワクチンとして製造しやすいか
などを総合的に検討します。
そして、厚生労働省の専門家会議で、日本で使うワクチンの製造株が決められます。
つまり、
WHOの世界的な情報+日本国内の流行状況+ワクチンとしての製造条件
を合わせて決めているのです。
2026~2027年シーズンは、どんな株が選ばれたの?
では、今年のワクチンはどうなっているのでしょう。
WHOが2026~2027年の北半球向けに推奨したのは、次のようなウイルスです。
A型(H1N1)
A/Missouri/11/2025(H1N1)pdm09類似株
A型(H3N2)
A/Darwin/1454/2025(H3N2)類似株など
B型
B/Tokyo/EIS13-175/2025(B/Victoria系統)類似株など
ワクチンの製造方法によって、推奨される具体的な株には違いがあります。
名前を見ると、とても専門的です。
それでも「予想」ではある
ワクチンの株を決める時点では、これから先の流行を100%知ることはできません。
その意味では、やはり「予測」です。
インフルエンザウイルスは変化しますし、実際に流行するウイルスが、ワクチンに使われた株と完全に一致するとは限りません。
厚生労働省も、流行株とワクチン株の間に違いが生じることがあると説明しています。
ただし、完全に一致しない場合でも、一定程度の有効性が保たれることが分かっているとされています。
だから、
「外れたら全部無駄」
というような単純な話ではありません。
私が最初に感じていた「ワクチンって、もしかして賭けなのでは?」というイメージは、少し違っていたようです。
正確に言えば、
科学的なデータをもとに、できるだけ当たる確率を高めた「予測」
なのだと思います。
インフルエンザワクチンの効果は何%?
「ワクチンを打ったら、何%くらいインフルエンザを防げるの?」
流行したウイルスの種類、ワクチンとの一致度、年齢、健康状態などによってかわります。
アメリカのデータを見ると、シーズン全体のワクチン有効率は、例えば、
- 2014~15年:19%
- 2017~18年:38%
- 2019~20年:39%
- 2022~23年:30%
- 2023~24年:44%
- 2024~25年:56%
- 2025~26年:36%
となっています。年によってかなり違います。
ワクチンの効果は「感染を完全に防ぐ」ことではない
厚生労働省も、ワクチンには発症する可能性を低減する効果と、重症化を防ぐ効果があるとしています。
実際、2025~26年シーズンのアメリカの暫定データでは、ワクチンの効果は、外来受診を必要とするインフルエンザに対しておおむね24~36%、入院に対して31%程度という結果が出ています。
もちろん、これはアメリカのデータなので、そのまま日本人に当てはめることはできません。
でも、
「感染を100%防ぐワクチンではない。でも、発症や入院などのリスクを下げる効果はある」
ということは分かります。
ところで、ワクチンを打つと熱が出る人は多い?
ここは、私自身がかなり気になっていたところです。
私はインフルエンザワクチンを打つと、その日の夜から熱が出ます。
翌日は一日寝ていて、さらにその次の日も、だるくてなかなか動けません。
「これって、そんなに珍しいことなの?」
と思っていました。
発熱、頭痛、寒気、だるさなどは、5~10%
の人にみられるとされています。
つまり、100人いたら5~10人程度です。
一方、
赤み、腫れ、痛みなどの接種部位の反応は、
10~20%
程度にみられます。いずれも通常2~3日で消失します。
「ワクチンでインフルエンザにかかった」のではない
以前の私は、ワクチンを打ったあとに熱が出ると、
「人工的にインフルエンザにかかったようなものなのかな」
と、少し思っていました。違いました。
ワクチンを接種したことで、インフルエンザそのものに感染したわけではありません。
ワクチンによって免疫が刺激され、その過程で発熱やだるさなどの反応が起こることがあります。
つまり、
「インフルエンザにかかった」のではなく、「免疫が反応している」
ということです。
熱が出てもワクチンを打つ意味はある?
ワクチンには、
「絶対にインフルエンザにならない」
という効果はありません。
一方で、発症する可能性を下げたり、重症化を防いだりする効果が期待されています。
つまり、
ワクチンのメリット
と
接種後の副反応による負担
の両方を考える必要があります。
特に私のように、接種するたびに発熱や強いだるさが出る場合は、
「みんなが打っているから、私も打つ」
だけではなく、
これまでどんな反応が出たのかを医師に伝えて、次回の接種について相談する
ことも大切だと思います。
厚生労働省も、接種後に異常が認められた場合には医師へ連絡するよう案内しています。
私は、どう考えればいい?
現在、インフルエンザワクチンの定期接種の対象は、原則として65歳以上。
また、60~64歳でも、心臓・腎臓・呼吸器の機能などに一定の障害がある方や、HIVによる免疫機能障害がある方は対象になります。
それ以外の60~64歳の人は、希望して接種することができます。
だから、60歳の私にとっては、
「絶対に受けなければいけないもの」
というわけではありません。
これまでの接種後の反応や、自分自身がインフルエンザにかかった場合のリスクなども含めて、医師と相談しながら考えるのがよさそうです。
まとめ
今回、インフルエンザワクチンについて調べて分かったことをまとめると、
- ワクチンは毎年同じではない
- WHOが世界中の流行データをもとに、次のシーズンのワクチン株を推奨している
- 日本では、WHOの推奨だけでなく国内の流行状況や製造条件なども考慮して株を決めている
- 予測なので、流行株と完全に一致するとは限らない
- ワクチンの有効率は毎年変わり、30~50%台など幅がある
- 「有効率30%」は、接種した人の30%が感染しないという意味ではない
- ワクチンは感染を完全に防ぐものではないが、発症や重症化を減らす効果が期待されている
- 発熱・頭痛・寒気・だるさなどの全身反応は5~10%程度
- 接種部位の赤み・腫れ・痛みは10~20%程度
- こうした反応は通常2~3日で消える
- 接種後の反応が強い場合は、次回の接種前に医師へ相談することが大切
「今年のワクチンは当たるのかな?」
そんなふうに思っていた私ですが、調べてみると、そこには思っていた以上にたくさんの人とデータが関わっていました。


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